STATEMENT
年頭所感

2025年の年頭所感
皆様、明けましておめでとうございます。
「組織にとっての知好楽遊」
今年は例年以上に心地よい疲労感と充実感、そして良い流れのようなものを感じて年を越すことが出来ました。昨年秋には7年ぶりの海外となるベトナムへの社員旅行を行うことが出来ました。私も妻と息子の3名で参加しましたが、家族にとっても記憶に残る良いイベントとなりました。普段、顔を合わせている社員もいつもより笑顔でとても幸せそうに見えました。
一緒に遊ぶことは家族や組織の絆を強くすると思います。「知好楽遊」という言葉があります。もともとは、仕事の取組み方を指す言葉で、仕事を知っているだけの人は仕事を好きでやっている人にはかなわないよ。仕事を好きでやっている人も仕事を楽しんでいる人にはかなわないよ。その中でも遊びのよう夢中に楽しんでいる時が最高の状態である。といった意味ですが、私はこの「知好楽遊」という言葉を「一緒に仕事だけしかしていない組織は、一緒に遊んでいる組織にはかなわない」のではないかと拡大解釈しています。
ある日本の大手広告代理店が、パフォーマンスを出しているチームとそうでもないチームを比較する研究を行った際、パフォーマンスを出していないチームは仕事の話ばかりしていて、パフォーマンスを出しているチームは趣味の話や雑談ばかりしているという、会話内容の違いがみつかったそうです。今や「心理的安全性」が重視されているように、組織の在り方やリーダーの役割自体が変化してきていると感じています。
家族も参加する社員旅行は当社にとっては一つの文化です。この遊びの文化は当社の成長のエネルギーの源泉だと思います。2025年度はイベントの年となりますが、また多くの社員や家族が参加できるようなイベントが出来たらいいなと考えています。
社員旅行では、もう一つ、嬉しい事がありました。若手の方にパーティでの余興を頼んでみたところ、皆さん、心よく引き受けてくれました。事前に何回も練習して非常に完成度の高いダンスでした。
今回の社員旅行で一番幸せを感じたのは、パーティで主体的に動き盛り上げてくれた幹事の皆さんや有志の若手社員だったと思います。他人に与えるものが多いほど、自分が豊かになります。そして、主体性を持って行動するということは、仕事や人生に対しても同様に重要なエッセンスだと改めて感じました。
「次のステージへの課題」
2024年は私達が次のステージへと成長するための課題も見つかりました。これも良い流れだと捉えています。
年末に数年ぶりとなる社内エンゲージメント調査を行いました。結果としては
【働く環境】、【多様性】、【上司への信頼・社員間の関係】といった項目はエンゲージメントの数値が高く、【会社、仕事への誇り】、【事業推進力】、【事業ビジョン】といった項目が相対的に低い数値となりました。
働きやすさについては昨年12月22日の朝日新聞2面に当社の働き方改革の取り組みが掲載されました。衛生委員会や総務チームが中心となって10年以上前から取り組んできましたが、裁量労働制と在宅勤務の組み合わせが浸透してきたこともあり、残業時間などかなり改善されてきました。今年度も社員数は増えていますが、全社の残業代総額としては減ってきています。時間で言うと最終的には全社で月平均10時間程度になる見込みです。また、毎年の調査での健康リスク値も健康経営優良銘柄と言われる企業を超える良い数値をキープ出来ています。働き方改革が進むに連れて、売上や利益率、社員の平均年収も確実に上がってきました。総合的に見て、いわゆるホワイト企業の仲間入りは既に出来ているのだと思います。
一方、エンゲージメント調査からは多くの社員が「働きやすさ」は感じているけど、事業や仕事に対する誇りや働きがいはまだ実感していないといったところが読み取れます。今後は「働きがい」のエンゲージメントを高めていくことが次の成長に向けての課題となります。
解決策としては、事業戦略会議で取り組んでいる「重点事業の拡大」を全社で取り組んでいき、上司と部下がやりたい事業や夢や目標を語れるような仕組みを作っていきたいと考えています。それに加えて、事業を創る楽しさや増やしていく喜びを一番経験しているのは私や常務をはじめ役員、管理部クラスだと思いますので、それぞれが自分達の事業の醍醐味を語っていくことも大切かなと感じています。
私は個人の夢や目標、そして自分達がやりたい事業を実現していく上で大切なことは「思い入れ」、「マーケティング」の2つだと思います。ここでいう「思い入れ」は自分で仮説だって考え、主体的に行動していく熱意です。「マーケティング」とは、自分達が提供するものが世の中にとって、どれほどの価値を持っているかを俯瞰できる力のことです。一見、ジャンルが違うようですが、昨年の社員旅行では若手有志の皆さんは幅広い年代の社員や家族が参加している中で大勢の人に楽しんでもらおうと考え、例えば年配者には懐メロのピンクレディ、ちびっ子には最新の「Bling-Bang-Bang-Born」などをダンスの選曲にしてくれました。これはまさにマーケティングの考え方で夢や事業を実現していく上でとても重要なお手本だと思います。
最終的に上手く実現できるかどうかは「運」も大切になってきます。運については、「もがくカエル」といった寓話があります。
『ミルクのツボに落ちたカエルたち。泣いて行動を取らなかったカエルは沈んでいった。ただ1匹のカエルはあきらめ
ず、自分の足で懸命にもがいた。すると次第にミルクがバターになって固まり、抜け出ることができた。』
一見、ただの笑い話のようですが、運も、自ら行動する人にはプラスに生じます。夢や目標、事業の実現については何か明確な手段や答えが最初からあるわけではありません。自分達で主体的に動いてPDCAを回し続けていくことが最後は重要になっていくと思います。
「ホワイト企業からプラチナ企業へ」
昨年は他にも日本を代表する会社が多く在籍している経団連へ当社が加入したこと、大型ERPに頼りきった失敗事例が数多くあるなかで、フルスクラッチで提案して臨んだ基幹システムのリプレースを当社が無事に導入できたことなども私達の今後の自信に繋がる良い流れとなりました。この流れを糧に今年からはホワイト企業からプラチナ企業へと舵を切っていきたいと考えています。
プラチナ企業の定義は
- 老若男女が生き生きと働ける
- 会社と社員の目指す方向が一致している
- 働く場所や時間を問わない柔軟な労働環境が整備されている
の3つです。
昨年末のエンゲージメント調査では、業績が高いチームはエンゲージメントも高く、業績と組織のエンゲージメントはほぼ連動している事がわかりました。全社でエンゲージメントを高めていけば、業績も連動して更に上がっていくことになります。今後はプラチナ企業を目指して取り組んでいきます。
2025年はより多くの社員が「働きがい」を感じられるような企業へとステージを高めていきたいと思います。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いします。
2025年1月6日
株式会社エスピック 代表取締役 白川 満貴